世界経済が不安定な状態が続いている現状で、国際金融システムにも不安が見られるようになっています。
新興国の通貨はもちろん、先進国の通貨であっても必ずしも安全とは言えない状況です。
そのため、各国は自国通貨の一定水準以上の信用を維持するために試行錯誤しています。
その手段の一つが通貨スワップ協定です。
具体的には、各国の中央銀行同士が互いに協定を結び、自国通貨に不安が生じた場合に、自国通貨を一定のレートで協定相手国の通貨を融通してもらうための協定です。
このような協定は、2国間での取り決めや多くの国を巻き込んだもの等様々あり、日本では新興国が中心のASEANを中心としたチェンマイ・イニシアティブ等の協定を結んでいます。
しかし、日本は世界第三位の経済規模を持つ先進国であり、その通貨「円」は世界を代表する安全な通貨とされており、有事の円買いと言われるほど、自国通貨の安全性・信用性が高い国です。
そのため、日本にとっては、通貨スワップ協定を結ぶことによって、自国通貨を守るという必要性はあまりなく、むしろ一方的に協定相手国を守ることになってしまいます。
そんな中で、日本は以前一度は廃止したはずの日韓通貨スワップ協定を復活させることを検討しています。
これは、混迷する世界経済を受け、韓国国内から通貨「ウォン」の信用強化の必要性を主張する声が高まり、日本との再協定を結ぶ必要性を論じる識者が登場したことがきっかけです。
通貨スワップ協定が復活した場合に、韓国にとっては、通貨ウォンの信用が高まるというメリットがあり都合がいい話ですが、日本にとっては話が違います。
基本的に、日本は韓国経済や通貨ウォンに不安が見られた時に、協定を発動することで韓国を救済するということになるので、韓国が抱えるリスクを日本が背負うというデメリットしかないように思われます。
しかも、日本と韓国は輸出産業の面で重複することが多い経済的にライバル関係にある国ですので、日本が守ることで韓国が好調になることで、日本経済にダメージを与えられてしまうと問題です。
しかし、本当に、協定を結ぶことで日本にデメリットしかないのであれば、協定締結に至ることはありません。
仮に、日韓スワップ協定が結ばれず、今後も続く世界経済の混迷の中で韓国経済が致命的なダメージを負った場合、日本だけでなく世界経済に大きな悪影響を及ぼしかねません。
なぜなら、韓国の経済規模は日本ほどの大きさではないにせよ、世界規模で見れば2015年時点で11位という経済大国ですので、韓国経済やその通貨ウォンに不安が生じれば、世界経済が一層不安定になるこは言うまでもありません。
もし、韓国を守らなかったことで世界経済が一層不安定になってしまった場合、円高傾向の為替相場になりかねませんので、日本の輸出企業にとっては逆境となってしまいます。
つまり、韓国を通貨スワップ協定によって守ることは日本企業を守ることにも繋がりますので、日本にもメリットがあると言えます。
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