扶養控除廃止、得する人と損する人

金融・財務・経済

扶養控除を廃止すると、得をする人と損をする人が出ることは間違いないのですが、世の中の仕組みが様々に変化しているので、先行きを見通すと何が幸いするかわからないという状況になっていることも確かです。

現在の制度では、税法上で扶養家族として認められるのは、年収が103万円までですから、扶養内に収めるためには、ほとんどの場合がパートやアルバイトという雇用形態で勤めるということになります。
そうすると、一般的なケースでの話になりますが、ご主人の年末調整のときに、38万円が税の控除対象となるというわけです。
これまた一般的なケースですが、税率は10%くらいなので、3万8千円が年末調整で戻るということになります。

関連することですが、働く日数や時間によっては、社会保険に加入しないことになり、健康保険でもご主人の健康保険組合に認定してもらい、扶養家族として扱われれば、健康保険料は不要ですし、厚生年金保険料も必要ないということになります。国民健保の場合は、少し仕組みが違っていて、扶養家族という概念がないので、二人とも保険料を払うということになります。

扶養控除廃止という場合は、あくまでも税法上のことですから、税金上の恩典のみが受けられなくなるということになります。
そうなると、単純に考えると、働けるだけ働く方がいいということになりますが、今度は社会保険の恩典が受けられないということにもなりそうです。

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もっとも、税法が変わると、健康保険の仕組みも変わる可能性があるので、このあたりは何とも言えあいところもあります。
ただし、はっきり損をする人は、働きたくても働けない人の場合です。無条件で扶養控除廃止となると、たとえば父母を扶養している人で、父母が高齢であるとか、お身体の関係で働けないというような場合は、一方的にダメージを被るということになります。

こうしたケースを除いて考えるにも、難しいことは結構あるのです。

今、時々国や自治体から、特別な給付金がありますが、扶養家族になっていない人に限って支給されています。
金額如何にもよりますが、損得勘定からすると、損得感情という方が正しいかも知れませんが、難しいことになっています。
さらに、先行きを考えると、年金の給付が下がる傾向にあることも見逃すわけには行きません。
夫婦二人で男子が60歳になったときからと仮定して、その時点での平均余命で考えて、男子が84歳まで、女子が90歳まで天寿を全うするとなると、少なくても1億円、少し余裕がある生活となると1億2~3千万円がかかると言われています。
年金の給付があるので、およそ60%は賄える勘定で、60歳時点の退職金もあり、今は65歳まで何だかんだといっても収入の道があるので、何とかなりそうですが、年金給付が少なくなるとなると、一大事ということになりそうです。

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お金の面で安全を図ろうとしたら、扶養控除の恩典を受けないで、奥様も厚生年金の保険料を納め続け、受給年齢以降は、二人して年金がもらえるというのが、鬼に金棒プラントなります。
目先の損得だけでは済まない時代になっていることを、嫌でも認識する必要がありそうです。

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