村上春樹は、1979年にデビューした小説家です。これまでに数多くの作品を発表し、様々な文学賞を受賞しています。海外でも高い評価を受け、毎年のようにノーベル文学賞の候補にも挙がっている作家です。あまり知られていないことですが、アメリカ文学の翻訳も行っており、スコット・フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーといった小説家の翻訳をすることが多く、自身の作風に大きく影響を受けている作品を積極的に訳して出版しています。
村上春樹の作品で読んでおくべきベスト5選は、出版順に「羊をめぐる冒険」「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」「TVピープル」「ねじまき鳥クロニクル」「1Q84」が挙げられます。
「羊をめぐる冒険」は1982年に出版された自身3作目の長編小説で、村上春樹の作品性を確立した作品だとも言えます。友人の「鼠」によって羊の写真が送られてきて、その写真を広告に掲載したことがきっかけとなり、その羊を探すための冒険が始まるのです。独創的な展開が続き、読んでいるうちに村上作品であると言うことを強く意識させられます。ちなみにこの「羊をめぐる冒険」は、「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」から続く青春3部作とされているので、これらの作品を読んでいればさらに楽しめます。
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」は、非常にファンが多い作品です。1985年に出版され、谷崎潤一郎賞を受賞しています。章立てで物語が展開し、一章ごとに「世界の終り」の章と「ハードボイルド・ワンダーランド」の章が入れ替わる構成になっています。「世界の終り」の主人公である僕と、「ハードボイルド・ワンダーランド」の主人公である私がそれぞれに思惑を持ち、歩みを進める様は読んでいて惹きつけられます。「世界の終り」に比べ、「ハードボイルド・ワンダーランド」の章が現実感があるため人気が高いですが、2回目、3回目と読んでいくと「世界の終り」に秘められたメッセージが分かるはずです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド新装版 [ 村上春樹 ]
「TVピープル」は1990年に出版された短編小説集です。6つの短編が収録されており、おすすめは「眠り」です。良くあるようで、実は怖いストーリー展開が魅力です。修正が加えられた単行本版もあるので、読み比べてみるのも一興です。
「ねじまき鳥クロニクル」は1994年から1995年に掛けて3部作として出版された作品です。専業主夫である僕と妻であるクミコと一緒に暮らしていた猫がいなくなってしまったことで生活に大きな変化が起こり、壮大な物語が始まります。この作品は村上春樹が第1部と第2部を書き上げて完成させた後、しばらくしてから第3部を書かなければ、と思い立って全3部の構成になったというエピソードがあります。
「1Q84」は2009年から2010年に掛けて出版された13作目の長編小説です。小説家を目指す天吾と、スポーツトレーナーの青豆という二人の主人公がそれぞれの物語を順番に展開していきます。二人が関わることがあるのかは読んでのお楽しみです。完結とされている第3部でも多くの謎が残されているため、続編の出版が待たれている作品です。
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