大阪都構想が世間を騒がせました。
最終的にはほんのわずかの差で反対派が多数を占めて、現状のまま大阪市として残ります。
大阪都構想は地域政党の大阪維新の会が主体となって押し進め、国政政党の維新の党が応援していました。
自由民主党は、執行部の人達は都構想に賛成で大阪の自由民主党は反対の立場をとりました。
中央政界では自由民主党と日本共産党は激しく対立していますが、この問題に関しては大阪の自由民主党と日本共産党が手を組んで都構想に反対の立場をとりました。
結局は大阪の自由民主党支持者の約4割は都構想に賛成し、約6割は反対の立場をとりました。
無党派層は完全に賛否が分かれました。
民主党や公明党も反対であったことを考えると、最後は組織力の差と言えます。
しかし考えるべきことは、大阪市の南と北で賛否が割れたと言うことです。
大阪市の北側に住んでいる地域は賛成で、南側に住んでいる地域は反対の方が多かったのです。
その理由としては、大阪市の北側に住んでいる人は他から移ってきた人が多く、大阪市に対してそれほど愛着がなかったことが挙げられます。
さらに所得も比較的高い人が多かったことも影響したとも言えます。
それに対して、大阪市の南側に住んでいる人は昔からずっと大阪市に住んでいる人が多く、その意味で大阪市に対して愛着があったために、大阪都に変わるということに対して拒否感があったと言えます。
さらに年代別に賛成か反対かを見れば一目瞭然です。
40代以下の年代の人達は賛成が多いのに対して、50代では半々60代以上では反対が賛成を上回ったのです。
その理由は、60代以上の人達の大阪市に対する愛着が強かったと考えられます。
そもそも大阪都構想は、大阪市長の橋下徹氏が大阪府と大阪市の二重行政の解消を目的として掲げられた政策で、大阪市を廃止して大阪都にするというものでした。
大阪市では橋下徹氏の人気は絶大で、地域政党の大阪維新の会が府議会と市議会の両議会で第1会派になるほどの圧倒的強さを示していました。
この橋下徹氏の人気を背景にして、大阪都構想は進められたのです。
しかしその橋下氏に対する政治手法に対する批判は凄まじいものがありました。
そのため自由民主党や民主党、公明党や共産党などの既成政党は橋下氏と激しく対立しました。
また学者の意見も橋下氏に批判的な意見が強く、大阪都構想に関しては疑問を呈する人も続出しました。
しかし大阪市の公務員の数は他の政令指定都市の公務員の数よりもずば抜けて比率が高く、それに対して疑問を持っている市民も多くいたのは事実です。
それに加えて橋下徹氏の演説の上手さが相俟って、都構想に賛成の市民も徐々に増えて行きました。
この大阪都構想が本当に素晴らしいのかどうかは別としても、二重行政に対して一石を投じたのは事実です。
このことは大阪だけの問題ではありません。
私達皆が、二重行政のことについて考えることにもなったのです。
その意味では、この住民投票は意義のあったものであると言えます。
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