以前にも一度読んだことがあるのですが、改めて読み返したくなり
「ブラックジャックによろしく」を全巻読破しました。
主人公は名門の永禄大学卒を卒業した研修医、斉藤 英二郎。
彼が様々な医師や患者と出会い、葛藤しながら成長(根っこの部分は最後まで変わらなかった気がしますが…)していくさまと、同時に知られざる医療の裏側や、抱える問題をテンポよく描いたマンガです。
医療マンガといえば様々ありますが、医龍ほど医局のイザコザに特化した内容ではなく、もちろん大学病院ならではの上下関係だったり力関係には触れるのですが、様々な科の抱える問題や患者の想いも表現されています。
小児科や無いか、外科などを回っていくわけですが、個人的にはNICU(新生児集中治療室。ICUの新生児版ですね)と精神科の部分が興味深かったです。
このマンガの良いところは、非常に重い題材を扱っていて、おおまかなあらすじだけここで文章にすると、きっと「重くて読むのがしんどいだろうな」と思いそうな内容なのですが、登場人物に極悪人がいないんですよね。
権力や出世を大事にしている人間や、主人公目線で見たときに正反対の考え方をしているように見える人物でも、内に秘める「思い」や「情熱」があるというか。
それぞれがプライドを持って、ゆずれないものを持っている様子が垣間見えるんですよね。
また、自身の病気を受け入れられない患者やその家族の、葛藤や心の変化も丁寧に描かれています。
何よりも、単純に医療の闇を暴くという内容ではなく、これを読むと、生きるということに真剣に向き合いたくなります。
必死に生きようとする患者の姿であったり、医者って何なんだ?と模索し続ける主人公の姿であったりが、いやおうにも「今時分が生きていることのありがたさ」のようなものを感じさせてくれるのかもしれません。
ただ毎日をなんとなく過ごしている。
自分の目標が分からない。
生き方に迷っている。
そんなときに読んでみるといいかもしれません。
壮絶な内容なのに、なぜか元気がもらえます。
電子書籍サイトとして有名なコミックシーモアでは、なんとブラックジャックによろしくの全巻がすべて無料で読めます。
これは著者の佐藤秀峰氏の意向のようですね。
読み応えのある全13巻ですが、あっという間に時間も忘れてのめりこんでしまいました。
コメント