金相場は経済や金融の影響によって変化します。
いろいろな要因がありますが、それらの要因はすべて需給要因です。
需要と供給のみによって決まると考えておくべきでしょう。
なぜかというと、株式や債券、不動産とは異なって何も生み出さないからです。
株式を保有していれば配当金を得ることができますし、債券なら利子を受け取ることができます。
不動産なら賃料収入を安定して生み出すでしょう。
金はこのように何かを生み出すことはありません。
ですから利回りという概念がありません。
そのため、需要と供給とが価格の決定要因となります。
まず供給面についてですが、金の供給は採掘によって行われます。
ですから、産金国の状況によって金相場は大きく影響を受けると言えるでしょう。
産金国で採掘量が大きくなれば価格は下落し、小さくなれば価格は上昇します。
たとえば産金国の政治が混乱したり、あるいはストが起こったりすると、採掘量が小さくなって価格が上昇する傾向があります。
先進国でも金は採掘されますが、新興国での採掘量の方が多く、そのために政治の混乱などは起こりやすいと考えられます。
需要面についてはいくつかの用途があります。
その一つが宝飾品としての需要です。
金は宝飾品として用いられることが多く、特に新興国の富裕層が好んで保有する傾向がありますから、新興国の経済が好調になると金相場は上昇する傾向があります。
ほかの貴金属と同じように工業品としての需要もあります。
金は電気抵抗が非常に小さいことから電子部品に用いられます。
景気が回復してくると工業生産が活発になりますから需要が高くなり、価格の上昇要因になります。
工業需要による影響は、現在のところはあまり大きくはありませんが、今後の世界経済の状況によっては大きく影響する可能性があります。
もう一つ重要な需要が資産保有の目的です。
通貨の代わりに用いられることが多いです。
景気が良い状態の時にはあまり需要はないのですが、景気が悪化してくると資産を金として保有したいという需要が高まります。
金は古くから通貨として用いられてきたために、人類全体で価値を共有していると言えるでしょう。
地球上に存在する量は限られていますから、供給の上昇によって価格が下落しにくいです。
また、株式や債券などのような証券とは異なり、実物の資産ですから、価値が下落することはあっても、ゼロになることはありません。
そのため、資産を守るためのものとして適しています。
経済状態が悪化したり、あるいは金融危機が起こったりすると、安全な資産を保有したいという需要が生まれます。
その際に、安全通貨と呼ばれるいくつかの国の通貨が買われるとともに、金が買われることが多いです。
たとえばリーマンショック後には株式や債券などの証券に対する信認が低下し、それによって金価格が一気に上昇しました。これが特徴的で、ほかのコモディティにはない特徴だといえるでしょう。
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