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後期高齢者の保険料軽減措置とは

生活

日本は、世界最長の寿命と高い保険医療水準を実現してきましたが、これを支えてきたのが、国民皆保険制度です。
今後、少子高齢化が進み、医療費が増え続けて国家財政を圧迫していく中、いかにしてこの国民皆保険制度を維持していくのかが、社会の大きな課題になっています。
そうした中、平成20年4月に、75歳以上の方に適用される後期高齢者医療制度が施行されました。
従来の老人保健制度では、不透明だた世代間の負担が明確化されるなどの改革が行われた一方で、高齢者の負担が増えると強い反発が起こりました。

この反発をかわそうと、既に導入されていた低所得者への国民健康保険と同じ軽減措置に加えて、追加で軽減特例が導入されました。低所得者の更なる保険料軽減(均等割9割または8.5割・所得割5割)と、会社員等の家族に扶養されていた元被扶養者の保険料軽減(均等割9割で期限なし)です。
例えば、平成28年の見込み額では、75歳以上の後期高齢者医療制度の平均保険料は月5659円になっていますが、9割の軽減を受けている場合は、月565円の保険料を支払うことになります。
平成20年当時、この軽減特例では、夫婦世帯で夫の年金収入が年間168万円以下の人などが対象になっていて、年金が年80万円以下の方が9割軽減となり、年金が年80万円超えから168万円以下方が8.5割の軽減となる措置を受けることができました。

グラフ

この軽減特例は、平成26年には、年金収入が211万円以下の方と元被扶養者の方とが措置を受けており、およそ865万人が対象となっていました。 平成28年には、この軽減特例の措置を受けている人は、916万人にも達しています。平成27年1月に、政府の社会保障制度改革推進本部が決定した医療保険制度改革骨子では、平成29年度から原則的に本来の規定通りにするとしています。また、厚生労働省も、医療費による財政圧迫と後期高齢者医療制度見直しのため、低所得者にも保険料の負担を求めていて、早ければ平成28年度から段階的に、軽減特例を廃止する方針を明らかにしていました。
そして平成28年9月29日の医療保険部会で、厚生労働省は、後期高齢者医療制度で、特例措置を廃止するよう社会保障審議会(厚労相の諮問機関)に提案しました。審議会の委員からは、一定の周知期間を求める声が相次ぎましたが、この特例廃止の影響を受けるのは、75歳以上の高齢者のうち、低所得者が約747万人と、元被扶養者が約169万人です。かなり多数の方が影響を受けることになります。例えば、軽減特例の措置を受けていた元扶養者の場合、現在月380円の保険料が、特例廃止によって、最大で1890円となってしまい、なんと5倍も増えてしまうことになります。そのため、長野県や愛知県等の後期高齢者医療広域連合議会では、特例軽減の継続を求める意見書を可決して、政府に「安心して医療を受けるため、恒久的な制度とする」よう求めていく方針を打ち出しています。

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