洗濯機が爆発したり、主力製品のGalaxyシリーズの電池が発熱~爆発と何かと悪い話題が続いているサムスンは韓国を代表する財閥系企業です。
いわゆるサムスンを冠したグループ企業の中の代表的存在がサムスン電子であり、グループ内でもっとも収益を上げています。最近は少し落ちたようですが、電気製品を販売する企業としては例外的に十パーセント以上の営業利益率を誇っていました。この数値は日本の電気製品関連企業が数パーセント程度あるかないかと比較すると驚異的です。
サムスン電子はもともとサムスングループ内で半導体事業から立ち上がってきた会社で、日本のDRAM技術を手本に製造技術などを充実させ、さらに日本人技術者をヘッドハンティングすることによってDRAM市場での地位を獲得してきました。
その後は電気製品部門でも積極的に多方面に事業を展開し、家電全般、テレビ、ビデオ、PC、DVD、携帯電話と手を広げて韓国を代表する大企業になると同時に世界規模でも売り上げ規模が上位に入る企業と発展してきました。
製品のみならず、部品開発に於いても積極的に展開しLCD、ARMコアの供給企業としても発展してきました。その規模は韓国のGDPの20パーセントにも及びサムスン無しでは韓国経済が成り立たない状態にまでなりました。
さらにスマートフォン分野でGalaxyが大ブレイクし、数年前には高嶺の花だったiPhoneと同等の機能を持つスマートフォンを低価格で全世界供給することでスマートフォンが定着することになりました。実はiPhoneへもARMコアを供給していた時代がありました。
サムスンの基本戦略はシェアを取ることにあり、典型的な薄利多売です。それでも高付加価値商品を低価格で供給することで規模を取ることが出来るので、結果として莫大な利益を得ていることになります。
またトップダウン経営が徹底しており、トップの判断で新規参入、事業撤退がスピーディに行われ一時的には現場は混乱すれど、強いリーダーシップで乗り切るといった日本の企業ではなかなか出来ないことを大胆にやることで、機会損失を起こさず、またずるずると赤字を続けさせないなど、数年前には日本の新聞雑誌に「サムスンを見習え!」の言葉が並んでいました。
色々云われるサムスンの経営戦略ですが、おそらくサムスンがGalaxyやLCDテレビ、PCなどを低価格で販売しなかったら、スマートフォンを始めとする高付加価値IT商品もここまで広がらなかったのではないかと想像されます。そういった意味での世界への功績というのは無視できないと思います。
さて、ここのところの爆発で話題になってしまっていますが、いずれもバッテリーなどの取り扱いがデリケートな分野での技術不足があったと考えられます。商品戦略は商品企画部門の力が強く、トップダウンで製品開発部門に降りてきます。その時に基幹技術が不足していたなら、どこからか調達してくるというのが基本技術戦略なので、なかなか内部で技術の蓄積ができないというのが実情のようです。このあたりをどう見直して立て直すかが、次の課題といえそうです。
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