TVCMで過払い金請求のことがよく流れているし
検索する人もたくさんいますが、ここ10年位で一気に「過払い金」という言葉が広まったように感じます。
消費者金融はもっと前からあったのに、
なぜここ10年でその言葉が広まり、過払い金請求をする人が増えたのか、
今回は過払い金回収の本を作成した編集者の方にお話を聞きました。
過払い金請求が流行りだした理由
過払い金請求が流行りだす以前は、
消費者金融の1位は武富士、2位はアコム、3位はアイフル・・・
という感じでTVCMもバンバン流れていました。
武富士のレオタードを着てダンスをする不思議なCMや
アイフルのチワワが出てくるCMは昭和生まれであれば見覚えがあるはずです。
ところが
過払い請求の最高裁判で消費者金融が負けたことで事態は一変します。
この最高裁の判決が出る前までは
いわゆるグレーゾーン金利(出資法)で貸付をしていたのですが
(利息法と出資法があって出資法で消費者金融は貸し付けていた。)
本来は利息法(金利MAX20%まで)で貸付しなければいけませんでした。
出資法は借りる側の人が納得すれば何%でもよいというような契約で
金利が40%、46%というものもありました。
大体のクレジットカード会社のキャッシングも利息が約29%というものが多く、
それも利息法で照らし合わせると、約10%もオーバーしている金利だったのです。
最高裁では、出資法で貸すことに、借りる本人が納得しているわけはなく
そういう風に借りさせるように半ば強制的に契約させているので無効である、
という結果になりました。
契約書ではもちろん、金利の説明は書かれてはいるが
支払が遅延したら40%の利息で払ってもらうというような内容で
借りる人からすれば、その利息で良いと納得するというより、
半ば強制的にそれを実行させられている、という解釈となりました。
ですから、今まで利息制限法で超えている支払い分を
業者が消費者へ返却しなさいという結果になったのです。
それで、どこの消費者金融も過払い金を支払わなくてはいけなくなり、
多くの消費者金融が倒産するという事態が起こりました。
1年間に過払い金の支払だけで1000億準備しなくてはいけなくなるなど
利益がほとんどでなくなってしまったのです。
消費者金融が過払い金に負われることに目をつけた銀行
この流れに目をつけたのが銀行です。
銀行は貸すスキルがあっても個人に貸して回収するスキルがありませんでした。
ですから、そのような消費者金融を銀行が吸収合併していきました。
アコムは三菱東京UFJ、プロミスは三井住友、レイクは新生銀行を吸収合併しました。
それでも銀行との吸収合併を拒んだ消費者金融もあります。
例えば、当時、消費者金融では大手だった武富士。
銀行との吸収合併を拒み、そのまま倒産という結果になりました。
しかし、その中でもアイフルは合併せず今でも運営しています。
ここまでに至った裁判とは
さて、ではここまでに至ったそもそもの理由、
裁判とはどういものだったのか。
もともと消費者金融と、顧客の間で、
弁護士を通し、利息制限法に基づいて借金の見直しをすることは
よくあることでした。
しかし、どこの消費者金融も
弁護士と争うことはせず、訴えを受け入れていました。
ただ、その中で1件だけ争った消費者金融があったのです。
その裁判が最高裁まで進み、
裁判結果が、利息制限法を超えた利息をつけてはいけないという結果になりました。
最高裁の判決はデフォルトになるので
利息制限法を超えた利息は認められない、ということが基準となったのです。
それで多くの消費者金融が過払い金を支払わなければいけなくなり、
資金力がある会社は残り、そうでない会社は倒産
という結果になりました。
現在は利息制限法に基づき、どこも19.8%など
20%以下に抑えられています。
総量規制の対象内・対象外ローン
更に、今では総量規制があり
お金を借りる時は借入総額が、年収の3分の1までに制限されるようにもなりました。
※総量規制の対象は「個人向け貸付け」であり、
事業用資金として借入れる場合は、原則として総量規制の対象とはなりません。
しかし、銀行からの借入の場合は総量規制の対象外となります。
三井住友銀行のカードローンや、三菱東京UFJ銀行のバンクイックなど、
銀行名がついているカードローンは総量規制の対象外です。
銀行からのキャッシングは利息も安いですが、
年収が少ない場合や、既に他社で借入があったり、遅延の履歴があるなど
審査に通らない場合は、銀行が吸収合併したカードローンの利用
(総量規制の範囲内)でしか借入はできません。
例えば、三井住友銀行のカードローンが審査が通らなかった場合、
プロミスでの借入となります。
最後まで争った消費者金融の裁判の結果が
過払い金請求に火をつけ、銀行が消費者金融を吸収、
総量規制が導入されるというきっかけになったのでした。
しかし、個人的な考えでは総量規制はあった方がいいと思うし
借金は消費で利用するものではなく、
事業(増やせる見込みがあるもの)で利用するものだと思うので
今の制度が安全で良いのではと感じました。
今回、取材した方が編集した本はこちらです。
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