英語など外国語の文章を和訳することになった場合には、気を付けておく必要のあることがいくつかあるのです。
誤訳や訳抜けという、訳出作業そのものに関しての間違いや手抜かりがあってはならない、ということは言うまでもないことなのですが、和訳をする際には、実はそうしたこと以外にも気を付けておかねばならないことが、いくつかあるのです。
その一つが、ですます調で訳すのかそれともである調で訳すのか、という文体統一の問題でしょう。
というのも、和文には大きく分けて、ですます調とである調という二つの文体があるわけで、これを場合によって使い分けているために、もしもあらかじめその指定があれば、もちろんその指定に従って和訳をすることになります。
そしてもちろん、そのどちらかである場合には、文章全体がそれに統一されていなればなりませんから、ですます調の文章の中にである調の文があったり、その逆にである調の文章の中にですます調の文がある、というようなことがあってはなりません。
このために、全体を訳し終わったなら、必ず文章を全部通してチェックしてみて、文体が一意に統一されていることを確認する必要があるわけです。
ただし、箇条書きで表現する必要のある文が含まれている場合には、ですます調と指定されている場合であっても、文章全体はですます調で訳しながら、箇条書きである部分はである調で訳出する、という場合もあることになります。
次に気を付けておく必要のあるものとして、文章全体を通して、同じ言葉の文字表記を統一しておく必要がある、ということがあります。
これはどういうことなのかといえば、例えば同じ「こども」という言葉が、ある場所では「子供」と表記されているのに、別の場所では「子ども」と表記されていて、また別の場所では「こども」と表記されている、といったように、文章全体の中で統一されておらずに、異なった表記になっていてはいけない、ということなのです。
というのも、日本語という言語は、ひらがな・カタカナ・漢字という三種類の文字を組み合わせて使っている、世界の言語の中でも稀である複数の文字体系を持つ言語であるために、このような同じ言葉の文字表記を統一する、という作業が必要となってくるのです。
これが例えば英文であれば、大文字小文字の区別はあるものの、英語にはA(a)からZ(z)までの26文字のローマ字(ラテン文字)、という一種類の文字体系しかないために、このような問題はそもそも発生しないわけなのですが。
そして、意外におろそかにされていることのあるのが、句点「。」や読点「、」がきちんと付けられているか、ということなのですが、特に日本語文には必須である文末の句点「。」が記されていない、という場合があるので、この点は改めて銘記しておく必要があります。
英文などの外国語文書を和訳する際には、誤訳や訳抜けといった文の内容レベルの問題だけではなく、このような日本語として正しい表現の文章になっているか、といった点にもしっかりと気を配る必要があるのです。
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