大相撲というのは格闘技の一つと言えますが、普通の格闘技にはあって、大相撲にはないものがあります。
それが体重によるクラス分けです。
たとえば、大相撲に近い競技としてレスリングがあります。
相手を投げたり、あるいは倒して後ろに回ったりすることで得点を獲得することが出来るというスポーツですが、この競技は体重別に試合が行われ、体重の軽い選手が重い選手と闘うことは絶対にありません。
また、柔道は無差別級という、体重制限なしのクラスが存在しているものの、オリンピックでは無差別級はなく、やはり体重別になっています。
しかし、相撲の場合は軽い方には制限があり、基本的に67キロ未満の人は新弟子検査に合格することはありませんが、重い分にはいくら重くてもよく、極端な話をするのであれば、67キロと200キロの関取同士の取り組みも可能性があるわけです。
当然、相撲は相手を土俵外に押し出せば勝ちになるので、体重の重い方が体を預ければ勝ちやすく、軽い方はかなり不利になります。
しかし、そういったハンデを体重の軽い力士が技やスピードで打開するのが相撲の魅力と言えます。たとえば、小兵の力士が大きな力士に対して行う技に三所攻めと呼ばれるものがあります。
これは、相手力士の片方の脚に自分の脚をかけながら、もう片方の脚を手で払い、更に相手の胸に対して頭を押しつけて倒そうとするという技です。
同じぐらいの体型の相手だと、頭を胸につけることは可能であっても、手で脚を払うのは難しいですが、小柄の力士は手を脚に掛けてもそれほど腰が落ちないため可能なのです。
また、立ち会いは、全力で前に出て相手を押すのが普通ですが、小柄な力士はあえて前に出ず、立ち上がったまま様子を見たり、あるいは左右に回って相手を横から押したりします。
力士によってはジャンプして後ろに回り込む場合もあります。
勿論、上記のような攻めをしたとしても、大きな力士にまわしをつかまれてしまい、一方的に寄り切られるという取り組みも少なくないわけですが、そのように負けることが多いからこそ、小兵の力士の意外な攻めが観衆をわかせるのです。
また、力士にそれぞれ番付があって、番付が下の方の力士でも最高位である横綱と闘うことがあるというのも相撲の魅力の一つでしょう。
たとえば、ボクシングであればチャンピオンと試合を出来るのは基本的には世界ランキング10位以内に入っている上位ランカーだけですが、相撲の場合、幕尻と呼ばれる、幕内の一番下にいる力士であっても連勝を続けていくと横綱と組まれる場合があります。
格下の方を応援することを判官贔屓と言いますが、相撲はそういった状況が起こりやすいのです。
最近は、モンゴル人力士が上位を独占していて、日本人力士は優勝から遠ざかっていることもあり、また、モンゴル以外の国の関取も増えてきたので、そういった体が大きくて強い外国人力士に立ち向かう日本人力士を応援するという楽しみも相撲にはあります。
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