姫路観光の前にちょっと予習
日本を代表する巨大な城といえば、江戸城、大阪城、名古屋城でしょうか。
いずれも徳川幕府の政治の拠点に築かれすべて戦国時代が終わってから作られた城です。
しかし残念なことにこれらの城は現存していません。
江戸城、大阪城は江戸時代の比較的早い時代に火災で焼失しています。
また名古屋城は太平洋戦争の戦火で消失しています。現存しているとされている城というか天守閣は全国で12しかありません。その中で最も大きなものが姫路城となっているわけです。
姫路城は単に大きいだけでなく、比較的古い時代に作られた為からの複雑な構造を持つ様式的に美しい城として有名です。
例えばより古い天守閣は大きな屋根を持つ建物に見張り櫓を載せたような望楼型というつくりになっていますが、姫路城はその望楼型天守閣の終わりの時期のものといわれています。
その後の名古屋城のような全体が塔のような形でピラミッドのような形になっている重々しい天守閣と違って複雑なバランスで作られていて美しいバランスを保っています。
また連立天守閣となっていて二つの小天守を持ち更に長い回廊の先に千姫のために作られた西の丸を持っています。この様な複雑で美しいつくりをほぼそのまま残しているのは日本中でもほぼここしかないと言えるでしょう。
戦国時代が終わってから作られた城であるために要塞としての実用性だけを考えて作った城ではなく、政治の拠点としてあるいは領主の住居として日常的な生活を伺えるところも魅力ですが、残念ながら領主が生活していた屋敷や家臣の住んでいた屋敷などは全て太平洋戦争で消失していて現在は見ることが出来ません。
これは城内だけでなく、姫路の城下町もそうで、ほとんど何も残っていません。
しかしそれでも姫路城には様々な物語が残っています。
もっとも有名なのは播州皿屋敷のお菊さんの怪談でしょう。城内にもお菊井戸とされている大きな井戸が残っています。
また千姫だけでなく、江戸から高尾太夫を連れ帰ったことも単なる物語ではなく史実のようです。実際に西の丸に住まわせていたようです。
このときにはじまったゆかたまつりは今も毎年6月に行われています。
まったくのファンタジーですが、姫路城の天守閣の一番上の階には刑部姫というお姫様の妖怪が住んでいるという伝説もあります。
刑部姫は姫路城がここに最初に作られる前からいた妖怪で今は普段は住む人もいない天守閣の主になっていると言われています。刑部姫の物語は泉鏡花によって天守物語として描かれ繰り返し舞台や映画にもなっています。このような物語り豊かな城が現存し美しい姿を保っているのは奇跡にも等しいことと言えるでしょう。
また城の周りは豊かな緑に囲まれ、市街地が発達した今も美しい景観を保っています。
この様な歴史的な背景や物語の世界を知ってから見るとよりずっと魅力的に思えるのではないかと思います。もっともそうでなくても壮大で美しい巨大建造物の美しさは変わりませんが。
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