テレビのニュースでよく報道される脱税事件では、ペーパーカンパニーを通して本来支払うべき税金を少なくしていたという事例が大部分です。
ペーパーカンパニーとは、一般的に営業活動が行われていない会社のことで、法律上の手続きで登記されているから存在はしているが、毎日仕事をこなしている社員はほとんど存在していません。
さて、このペーパーカンパニーを作る理由は、主に節税目的であり、そのまま申告すると高額の税金になってしまうから、途中に違う会社の取引をはさむ流れになります。
節税できるメリットがあるものの、実態がないペーパーカンパニーについては官公庁からのチェックが厳しく、時には税務調査の対象となって見解の相違が出てしまうのです。
違法性についてはケースバイケースになりますが、日本の税制は自己申告方式になっているので、節税であるかどうかの最終的な判断は税務署と企業の話し合いになる部分が少なくありません。
マイナンバーの施行によって、より税務署側がペーパーカンパニーについての確認をしやすくなりましたが、全ての企業と個人に目を光らせるのはやはり難しく、節税ではなさそうな大口から優先的に税務調査のリストに載せています。
海外のペーパーカンパニーについては、日本国内だけで完結する取引よりも複雑になり、送金の状況から違法性の有無を調査するパターンが多く見られます。
日本国内に本社があるかどうかでも大きく対応が異なってくるので、主に海外で活動しているペーパーカンパニーとなると、日本の官公庁だけでは対応しきれない場合もあるのが特徴です。
日本の法律だけではなく、ペーパーカンパニーが事業所を設置している国の法律も絡んでくる上に、国際的な取り決めを守りつつの慎重な調査を余儀なくされます。
東南アジアなどの海外のペーパーカンパニーは、節税のみならず、あまり公にしたくないビジネスで用いられる事例も多発しており、日本国内の官公庁が国民に対して注意を促しているのが現状です。
特に、投資詐欺で海外のペーパーカンパニーがよく使われており、詐欺だと発覚した時には肝心のお金は全て海外に流れてしまって、仮に犯人が逮捕されても回収不可能になっているので注意しなければいけません。
ただし、原則的にペーパーカンパニーそのものに違法性はなく、その制度を悪用してお金を巻き上げる、あるいは、違法なお金を洗浄する人間がいるだけの話です。
どこからが違法なのかは判断が難しく、明らかに意図的に誤解させる商法であっても、現在の法律では違法とは言いにくいグレーゾーンも見られます。
個人であっても、節税目的で投資用のペーパーカンパニーを作るケースは珍しくなく、法律の範囲内で税理士に相談しながら支払う税金や社会保険費を節約しているのです。
安定して利益を得られる人間にとっては、投資目的での会社設立はメリットが大きいのですが、健全な経営をしていても世間一般からはペーパーカンパニーと見なされる立場になります。
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