消費税が8%から10%に上がると、
生活費は2%増えると単純に考えるべきではありません。
まず、数値だけを見ると、1.08から1.10に上昇するわけですから、
単純に考えれば「1.10÷1.08=1.0185」となります。
つまり、商品やサービスの販売価格の上昇が税率によるものだけであれば、
1.85%の負担が生じることになります。
ですから、8%の状態に比べると、負担が2%増えるのではなくて、
1.85%だけしか増えないという点に注意が必要です。
今回は家計にも影響する消費税のお話をします。
消費税は公平?
消費税はすべての人が負担しなければなりませんから、
公平に負担するというイメージがありますが、
実際には所得の低い人の方が負担が大きいと考えられています。
所得の低い人でも高い人でも、
最低限生活を送るために必要な費用というものがあります。
所得の低い人の方が、最低限生活を送るために必要な費用の割合が高いために、
消費税が増税される影響は大きいと考えられるのです。
ほかの先進国諸国と比較すると、
日本の消費税の制度は低所得者に不利だと考えられています。
というのも、ほかの先進国では生活必需品は非課税となっていることが多いからです。
日本の税制では、生活必需品に対しても課税されます。
所得の低い人は、生活必需品の割合が高いために、
家計の圧迫は大きくなると考えられるのです。
具体的には年収300万円から400万円くらいの人で、
年間で3万円から4万円程度の負担増だという調査があります。
増税後も所得が変わらず、税抜きの価格が変わらないという前提であれば、
3万円から4万円くらいの負担増になると考えられますが、
経済はそれほど単純ではありません。
増税によって所得が減少する可能性があることも把握しておく必要があります。
消費税率10%が企業に与える影響
消費税は最終的に消費者が負担する税金なのですが、
企業としてはそれを上乗せして販売しなければなりませんから、
それによって業績が悪くなる可能性があります。
もしも企業の業績が悪くなれば、
それによって日本の経済は悪化していくことになるでしょう。
それが所得の減少を招くことは容易に想像できます。
それとともに、インフレによる実質賃金の低下も懸念されます。
増税が景気を悪化させることは避けられないでしょう。
増税によって景気が悪くなれば、
その対策として金融緩和が行われてインフレ圧力がかかることも容易に想像できることです。
ですから、増税による物価上昇だけではなくて、
それよりも高いインフレ率になる可能性が高いのです。
少なくとも日銀はインフレ率を高めるように誘導するでしょう。
そうなればインフレ率分だけの実質賃金の低下が予想されます。
このように、経済全体を考えれば、
税率の上昇分だけの影響にとどまらないと考えるのが妥当です。
名目ベースでは年間数万円くらいの負担増ですが、
景気が回復しなければそれ以上の負担が家計にはもたらされると考えられます。
実質ベースで具体的な予想値を示すことは出来ませんが、
より多くの負担が生じる可能性があることは頭に入れておいた方が良いでしょう。
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