古くから外国との貿易の玄関口として発展してきた、九州の北西部に位置する「長崎県」。
県庁所在地は長崎市で、江戸時代より国内で唯一の貿易港であった「出島」がある湾岸都市です。
外国との窓口でもあったため、ヨーロッパからの文化や風習が多く入ってきた都市でもあり、さらに坂の多い地形も合いまって、日本国内でありながら異国情緒あふれる景観を持った都市でもあります。
長崎市の年間平均気温は17.4℃で、暖流の影響が強いことから九州の他の県と比べても冬の平均気温が高く、寒暖の差が少ないのが特徴です。
異国文化が多く反映されているこの県には、多くの観光名所が点在しています。
特に今多くの観光客が訪れている場所が「軍艦島」です。
軍艦島は「端島(はしま)」の通称名で、明治時代から昭和時代にかけて栄えた海底炭鉱に携わる人達が住んでいた島で、1974年(昭和49年)の閉山と共に無人島になりました。軍艦島は近代化遺産として、また大正時代から昭和時代を隔てた集合住宅の遺構としても注目を浴びており、廃墟を好む人達の中でブームとなっており、度々この島の話題がのぼるほどです。最近では、今年2015年に「国際記念物遺跡会議(イコモス)」により、軍艦島の構成遺産が「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼・造船・石炭産業」の一つとして、世界文化遺産に登録されました。
「軍艦島」名前の由来とは
この島はもともとは小さな瀬で、そこに人工的に島が建設されたもので、周囲を岸壁が囲い、高層鉄筋コンクリートが立ち並ぶ景観が軍艦「土佐」に似ていることから、この愛称が付きました。鉄筋のコンクリートの建物は、その壁自体が岸壁の役割を果たしていました。島内には小・中学校の他、病院や映画館、パチンコホールまで揃い、充実した生活が送れるようになっていました。そのため、ピーク時には東京よりも高い人口密度を誇っていた時期もありました。
1974年の閉山より、この島への上陸は許可されていなかったため、長きにわたり一般人が軍艦島に降り立つことはできませんでした。しかし、2009年(平成21年)4月に一般人の上陸も許可されるようになったため、廃墟マニアを中心にこの島を訪れるようになり、軍艦島への観光ツアーも多くなりました。
それから6年後の2015年には、この軍艦島が世界文化遺産として正式に登録されたことを受け、また人気アニメの実写版映画での撮影場所にも使用されたこともあり、その知名度と人気は一気に上昇し、さらに多くの観光客が訪れるようになったのです。
上陸ツアーの例として、主力坑であった「第2竪坑跡」や、炭鉱の中枢であったレンガ造りの「総合事務所」、大正時代に作られた日本最古の鉄筋コンクリートの「7階建て30号アパート」などを、専用通路を通って見学していくツアーとなっています。
このツアーに参加するためには、軍艦島へ上陸するいくつかの船会社が、それぞれ提供する上陸ツアーに申し込んで参加するようになります。
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