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路線価の秘密

暮らし・賃貸

路線価という言葉はあまり馴染みがないかと思われます。
意味的には「路線の価値」ということになりますが、では一体何の路線の価値なのかというと、道路の価値のことを指しています。鉄道路線や航空路線などは含まれておりません。
「道路の大半は国が所有する公道です。私道なら価値をつける意味はわかりますが、公道に価値をつける必要があるのでしょうか」という疑問を持たれた方もいると思います。これは路線価という指標が公道の売買目的のためではなく、相続税および贈与税の計算に使うために便宜的に設けられたという歴史があります。

路線価

土地は原則、時価で計算します。しかし日本にある土地すべての時価を計算し評価するのは膨大な時間がかかります。そこで日本に最も多く張り巡らされている道路に着目しました。税務署は道路に値段(価値)をつけるようにします。これが路線価です。一定の距離に値段の区切りをつけ、その路線に面する宅地の価格は一律にします。この方法により、相続税および贈与税の計算を効率よく出せるようにしました。なお実際は、個々の宅地の形状などによって補正があります。
ここでまた一つの疑問が出てくるかと思われます。「道路がない山奥などの土地は路線価があるのでしょうか」という疑問です。ご指摘の通り、道路がない山奥などの土地を始め、地方では路線価が存在しない土地は意外とあります。その場合、相続税および贈与税の計算をする方法は2つあります。
1つは税務署への申請です。納税者が税務署に路線価がない旨を申請すれば、税務署で調べてもらえます。回答は約1ヶ月後になります。この価格を基に相続税および贈与税の計算をします。
もう1つは、固定資産税評価額と評価倍率表を用いて自力で(あるいは顧問税理士の方が)計算する方法です。固定資産税評価額は税務署から通知が来るので問題ないと思われます。評価倍率表ですが、これは国税庁が定めている表で国税庁のホームページにアクセスすれば自由に見ることができます。この表には「宅地」「畑」「山林」といったカテゴリーごとに倍率が決まってますのでご自身が所有している土地形態によって倍率が変わることに注意して下さい。評価倍率表はすべての地域・住所に定められています。

2つの方法を紹介しましたが、どちらが効率的かと考えると、後者をお勧めします。後者の方が時間もかかりませんし、何より計算額が異なってくるのがポイントです。前者と後者を比較すると、後者は1000万円ほど評価が下がったという事例もあります。相続税および贈与税の計算上、評価が低いほど税額も減りますので大きな節税となります。
今後、相続税および贈与税への関心がより高まってきます。日本の土地制度は複雑で難解であるため、理解がなかなかしにくい面もありますが、少しずつ知識を増やしておくことで、思わぬ節税効果を生み出すことなどもあります。顧問税理士の方等とも相談しながら理解を深めていきたいものです。


路線価による土地評価の実務(平成26年8月改訂) [ 小野山匠海 ]

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